最高の体調(鈴木祐著、クロスメディアパブリッシング、2018)
最高の体調は、現在の不調は文明が進んだために発する文明病だ、という考えのもと、「最高の体調」を目指すべく食事、運動、メンタルを科学的に改善するという書籍。
この本の醍醐味は、科学論文という断片的な報告を、鈴木祐さんというサイエンスライターが総合的かつ中立的にまとめて紹介している点だと思います。
ここではこの書籍でも出たキーワードで最近注目されている「レジスタントスターチ」について調べてみました。
食物繊維の摂取の基本は食事から
前提として言えることですが食物繊維は食事から摂るのが基本です。食物繊維は野菜や果物、海藻やキノコ類に多く含まれます。それでも足りない場合に、サプリメントを補助として活用しましょう。
レジスタントスターチとは
レジスタントスターチ(Resistant Starch、RS(アールエス))とは「難消化性でんぷん」のこと。「レジスタント」は耐性があること=消化されにくい=難消化性、「スターチ」はでんぷんという意味になります。
つまり、でんぷん=炭水化物の仲間なんです。
レジスタントスターチは、人間の小腸では消化・吸収がほとんどされない(つまり人間の栄養にはならない)が、人間の大腸に棲む腸内細菌のエサになるでんぷん、およびでんぷん分解物の総称です。
レジスタントスターチの種類
実は、レジスタントスターチ(RS)には種類がいくつかあって、具体的には5分類に分かれます。数字が増えるごとに加工度合いが高くなる感じです。
RS1…細胞壁などで物理的にブロックされていて消化酵素が作用できずに消化されないタイプ
例)全粒粉、雑穀など
RS2…でんぷん自体が消化されにくいタイプ
例)未熟バナナでんぷん、高アミロースのトウモロコシでんぷんなど
RS3…老化でんぷん(調理後の冷めたでんぷん)
例)冷ご飯、ポテトサラダなど
RS4…加工でんぷんで難消化性のもの
例)リン酸架橋でんぷん、エーテルでんぷん(化学的に処理したでんぷんのこと)
RS5…アミロースと脂質の複合体により消化されにくいタイプ
例)チャーハン
参照 後藤勝 日本家政学会誌,65 (4), 197-202 (2014)
日本食糧新聞2018年8月13日 新技術開発欄
食べるのを工夫して自分で摂取できるのは、RS1とRS3、RS5のタイプ
玄米や雑穀、全粒粉など未精製の穀物はタイプ1に、一度加熱してでんぷんをやわらかくしてから冷却したものはタイプ3に分類されます。お家の調理や工夫で取り入れやすいのはレジスタントスターチのタイプ1と3です。
両方のタイプを利用して雑穀ごはんを冷やして食べるのもアリですね!また、タイプ5も油を加えて炊いたり、チャーハンで使えます。
サプリメントとしてのレジスタントスターチはタイプ2が多い
実際の食事だけで足りない場合は、サプリメントを利用します。粉になったレジスタントスターチに該当するのはタイプ2とタイプ4です。おすすめはタイプ2。
でんぷん自体が消化されにくいタイプ2の代表として、アミロース比率が高いトウモロコシでんぷんと未熟バナナでんぷんがあります。
特に、アミロース比率が高いトウモロコシでんぷんは、海外ではハイアミロースコーンスターチと呼ばれ、その健康パワーが科学的に明らかになってきている素材です。
レジスタントスターチのデメリット
有用性がわかりつつあるレジスタントスターチ。今までの炭水化物に取って代わるような勢いですが、粉状のレジスタントスターチにも欠点があります。
それは、加えると粉っぽい食感になりやすいこと。普通のでんぷんのように、のり状にならないわけですから当然と言えばそれまでなのですが。ですからヨーグルトに加えたりしてよりおいしく活用する工夫が必要だと思います。
レジスタントスターチを積極的に摂りたい方は、まず玄米や雑穀(タイプ1)、冷ご飯(タイプ3)など、素材の選択や調理の工夫で増やす方法をとってからサプリメントを活用しても良いかもしれません。